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BDSMに関する論文や記事を読んでみた

BDSM に関する海外の研究論文や記事を紹介します

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ドミナントは普通の人よりずっと支配的?
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33547018/

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いきなりですが、ここで問題です。

ドミナント、サブミッシブ、一般人のうち<支配欲>が一番強いのはどれでしょう?
違いはどのくらいあるでしょう?

なんてSMクイズがあったら多くの人が

ドミナント >>>>(越えられない壁)>>>> 一般人 > サブミッシブ

と考えるのではないでしょうか。

実際はどうなのかを調査した研究がありました(冒頭のリンク=抄録)。
内容を紹介します。

【対象】

研究では、SNSを通じてドミナント、サブミッシブ、スイッチを募集し、性格検査を受けてもらっています。

応募したのは、BDSMコミュニティのドミナント、サブミッシブ、スイッチ計279名。
内訳は下図の通りですが、実数ではドミナント71名、サブミッシブ106名、スイッチ102名でしょうか。



全体では女性がやや多く(59.5%)、異性愛者が過半数(53.4%)を占めていました。
また年齢層は25~34歳が最も多く、全体の27.2%でした。(全体の年齢幅については言及なし)

【性格検査】

実施した検査は

・Personality Assessment Inventory(PAI、パーソナリティアセスメント検査)
・Interpersonal Reactivity Index(対人反応性指標)

の2つ。本来これらの検査ではさまざまな性格特性を知ることができるのですが、この研究では支配性(前者)と共感的関心(後者)にそれぞれ着目していました。

【結果】

○ 支配性

スコアの高い順に、ドミナント > スイッチ > サブミッシブ となりました。当然と言えば当然かもしれません。

しかし意外なことに、ドミナントのスコアは標準サンプルよりもはるかに高いわけではありませんでした。またスイッチとサブミッシブも標準サンプルの平均範囲に収まっていました。

ここからわかるのは、ドミナントは多くの人よりやや支配性が強いものの、極端に支配的ではないということです。

○ 共感的関心

共感的関心(Empathic Concern)とは、他者に温かい気持ちを抱いたり、共感したり、心配したりする傾向です。いわゆる共感性と考えていいでしょう。人に苦痛を与えて喜ぶドミナント、さぞや共感的関心は低いだろうと思いがちですが、研究の結果は意外なことに

ドミナント、サブミッシブ、スイッチ間で大きな差はない

というものでした(標準値とのずれは言及なし)。

【結論】

「支配好きで加虐趣味のドミナントは支配欲が人一倍強く、他者を思いやる気持ちは薄い」というイメージは、どうやら正しくないようです。

実際、経験豊富なドミナントほど腰が低く、周りに気を遣う人が多いと聞きますが、研究でもこれが確かめられたことになります。
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